書名とタダジュンさんの装画につられて購入し、 大昔の娯楽小説だからと期待せずに読んだのだが予想外におもしろかった。 前回、 前々回に取り上げた現代の娯楽小説よりずっといい。 後半など思わず夢中になって一気に読まされてしまった。 娯楽小説だけあって、 結末はこの手の話なら当然こういうオチになるよねという展開なのだが、 それにしたってあるいはこの小説が 「よくあるパターン」 の原型なのかもしれない、 読書家ではないのでしらんけど。 そしてその当然の結末がすごくしっくりくる。 全体の構成が練られていて無駄がないからだ。 必然的にそうあるべきだと感じさせられる。 無駄がないから短く、 だからこそ一気に読み終えたのだけれど、 戦闘シーンや混乱した社会の描写は、 たかだか十年しか経たぬうちに書かれただけあってリアリティがある。 いまそこに実際にいて熱や寒さや臭いや湿気や痛みを感じるかのようだ。 イアン・フレミングが熱狂的なファンレターを思わず書いたという逸話もむべなるかな。 惜しむらくは大昔の娯楽小説だけあって最後まで読んでも主人公がどんな人物なのかよくわからなかったりもするが、 まぁそれはそれ、 そんなことをいえばジェームズ・ボンドものなんていま読み返せばあくびがでるし、 あくびがでるような古めかしいスパイ小説と較べれば、 この活き活きとした波瀾万丈の物語は、 較べたら失礼になるくらい古びない。 この時代のロシアの話、 ナボコフとブルガーコフをたまたま続けて読んだので、 ちょっと関心がわいた。 中高生時代、 もうちょっと真面目に世界史を勉強しとけばよかったなぁ。
