日本でも長いつきあいのファンが多く、 近年ではドラマ化で新たなファンも獲得したようで (だから過去作も電子化されたのだろう)、 そういう読書の楽しみは何よりも素晴らしいと思いはするけれど、 残念ながらわたしにとっては 「巧いから読んでがっかりさせられることはない代わりに共感も感情移入もできない作家」 という印象なのです、 マイクル・コナリー。 一匹狼だなんだといっても警察組織のなかで有能な働きをするじゃないですか主人公。 辞めてからも人脈やら人間関係やらはなんだかんだいって結局は大切にしているし。 社会生活がちっとも破綻していないどころか、 むしろちゃんと英雄扱いされて称賛されている。 だったらなんでわざわざ読むんだよといえば、 『GONZO』 の難航が原因です。 犯罪小説を読むことからずっと離れていたせいで、 その手の小説に対する筋力が衰えたのを実感し、 ひさしぶりに読んでみようかなと思った次第。 しかし92年、 こんな大昔でしたっけ。 MBV 『Loveless』 の翌年ですよ。 受動喫煙や副流煙といった言葉もまだ定まっておらず、 主人公は室内や車内で喫煙しまくり、 ゲイやトランスジェンダーは変態扱い、 女性を性的な対象としか見ることができず、 仕事仲間とか隣人といったような、 それ以外の関係性を女性とのあいだに構築しうるなどとは考えたこともないらしく、 仕事で女性と組まされるとすぐに色目を使い、 男性の上司とも当然何かあるんだろうと勘ぐり、 しかも女性のほうもそれが当然であるかのようにすんなり受け入れてしまう、 「(男性の) 英雄とはこうあるべき」 とでもいうかのように。 この男女関係の異様さは主人公が現在のわたしとそう違わない年齢だという点にもある。 四十過ぎの男がこんなにガツガツしてますか。 しかも相手、 ずいぶんと年下じゃないですか。 常軌を逸している。 現代なら性依存症の診断が下されるはずだ。 たかだか三十年前はこれが 「英雄」 だったのかと驚かされる。 時代の変化を割引いても共感の余地はない。 ストーリーテリングの勉強のために読む感じがどうしても拭えない。 だからといって途中で放り出すほどつまらなくもないのがこの作家の奇妙さだ。 これだけ巧ければ文句はないのだ。 だから読まされちゃう。 そうそう、 こういう作家なんだったと思い出した。
