地下鉄道

序盤は読むのがつらかったこの国ではいまだに黒塗りの顔が楽しい演し物だと思われているし自由意志に対するヘイトが強い個人的にも過去になっていない選び取る人生がひとを人間にするあるいは選び取れると信じることがそのことを知っていたがために罰されて育った抗うたびに罪を思い知らされた追っ手がいつ現れるかと怯えながら逃げつづけているいまだ所有されている安住の地はない徐々に這い上がり頂点に達したところでまた絶望へ叩き落とされるこの物語ではそのくりかえしが山場へ向けて盛り上がる地獄から逃げ出して自由な土地にたどり着くがその幸福は偽りであり一瞬でも人生を自分のものと信じた罪が罰されるかと思いきや助けられてまた逃げるしかしその自由はかりそめであり降りる駅まで乗り合わせただけであるかのように逃亡幇助者らはいずれ殺されるその構造に別の繰り返しが組み合わされる殺された人物がどんな思いを抱いて生きたかが語られるあるひとつの死が伝えようとした事実が山場で語られる最後に手にした力伝えられなかった希望は自由意志だった選び取れると信じることの持つ力だ主人公が序盤で二度かいま見せる力であるそれはすぐさま無残に踏みにじられるしかし死んではいないその蒸気機関こそがこの物語を終着駅まで動かす力となるその魔力モジョを信じた男が彼女を服従の外へと連れ出す助けたひとびとは次々に殺される主人公は流されるばかりに見えるしかし実際には彼女自身の力だった叩き落とされ踏みにじられてもそのたびに這い上がるその積み重ねが追っ手の力を奪い彼女を強くした自身の蒸気機関が彼女をそこまで連れてきたのだ結末でついに主人公はだれの助けも借りずに追っ手を倒し選び取った鉄路を進むそのようにして人生をつかみ取る