昨年秋に読んだ。 版元のグーテンベルク21はクーンツ 『ベストセラー小説の書き方』 の翻訳家が著作権のグレーゾーン (だれもわざわざ訴えないからセーフ、 という程度の灰色) でやっている商売。 手間の割には儲かるまいなと思うけれどもおかげでこちらは古典的名作が労せずして読める。 本作の題材はまさしくオールド・ボーイズ・クラブ、 比喩的にも文字通りの意味においても。 有名大学出身者が男同士の連帯をするだけの話で、 彼らが彼らにしかわからぬ流儀で馴れ合うために人が死んだり女が苦しんだりする。 人物の描き分けがされていないのも当時の男性がみんな似たり寄ったりで、 男性読者なら同窓のだれかを連想して容易にイメージできたからだろう。 一方で書かれた年代を思えば意外なほど、 女性の登場人物は血の通った人物として造形されている。 馴れ合う男性たちにわきまえさせられ抑圧される側、 男社会の狭間で生きるしかなかった側の人間がちゃんと描かれている。 OBCを騎士道になぞらえて馴れ合いに終始するチャンドラー『大いなる眠り』 などとは違って、 差別を前提にした社会構造の残酷さを、 それがそのようなものであると正確に認識するだけの、 批評的視点を持ち得ているのである。 しかしそうであっても所詮は当時の男性が書いた小説であって、 結局は男同士の馴れ合いを称賛して終わる。 男同士の馴れ合いを楽しむ小説だからそれでいいのである。 本シリーズ、 当時の女性にはいかように受容されたのか。 探偵 (無愛想なデブ中年) と助手 (爽やか美青年) の書かれざる交友に想いを馳せる
腰ぬけ連盟
連載 第75回
