これまでに出版した本を机から片づけた。 Amazonやソーシャルメディアと相性がよくないし、 商業出版とは今後も縁がないし、 媚びたところで受け入れられない場のために、 金と神経をすり減らすのには限度がある。 いずれはWooCommerceで手製本を売るようになるのだろう、 レーザプリンタでコピー用紙に印刷して、 手で折って糊で製本して。 これまでただの夢想でしかなかったことはたいがい実現してきた。 なるべく自分でコントロールできる範囲でやりたい。 おれひとりが手に取ってぱらぱらやって押入にしまうだけのために、 AmazonPODはおれには大仰すぎる。 あれはくだらないルーブ・ゴールドバーグ・マシンだよ。 でも自力で通販やるにはセキュリティに不安があるんだよな⋯⋯個人情報あんまり預かりたくないし⋯⋯。 おれは鼻つまみで爪弾きだ。 どこにも受け入れられない。 だから何をどれだけ努力してもだめ。 セルフパブリッシングはいまやゲームの用語になってしまったけれど、 十年前は本について使われる言葉で、 当時似たようなことをやっていた同期はみんな職業作家になったり、 海外で翻訳されたり、 コンテストで有名になったりソーシャルメディアで人気だったりしている。 おれだけが指をさされて嗤われる無名人のままだ。 成功したひとたちの活動を眺めていてよく思うのだけれど、 要は交流なんだよな。 名刺配り、 挨拶まわりで顔を売ること。 商業出版でもおなじ、 世渡りができなければ。 社会性と人間性がいちばん大事なんだよ。 おれはその両方とも致命的にだめで、 だから職業作家になれなかったし、 いまも世間でうまくやれない。 積極的に交流しましょうだって? おれみたいな社会性と人間性に欠陥のある人間が、 むりに他人に話しかけてみろよ⋯⋯大事故だよ、 通報される。 こないだも若者に 「おじさん構文」 で話しかけたアカウントが吊し上げられていたけれど、 社会的能力に欠陥があるってそういうことなんだよな、 本質的に暴力でしかない。 おれとは真逆の人間なら⋯⋯たとえば、 なむさんはソーシャルメディアと相性がいい。 話題にされやすいネタ的な方面にも、 お洒落なZINE的な方面にも適合している。 くみたさんはアニメを通じて日本文化に関心をもった海外のひとたちに人気がある。 ほかにもAmazonの客層に合っているとか、 地域社会とうまくやっているとか、 もともと本業やソーシャルメディア、 社会活動などで支持者の多いひとたち、 あるいは同人誌の世界でつながりがあるひとたち。 そういう何か、 ちょっとしたものでいいんだけど、 そういうものがあれば努力しだいで読まれる。 どこにも適応できないおれは、 自分に合った客層を見出すことができない。 かといって潜在的な顧客がこの地上のどこにもいないとは、 どうしても思えないんだよ。 似たような思いをして生きてきたひとはいるはずだから。 おれはそのひとたちに、 あなただけじゃないと語りかけるつもりで書いている。 答えはまだ見つからないけど、 でもあなたのいるその場所はけっして不可視じゃない。 なかったことにはならないよ、 おれの本、 おれの言葉があるかぎり⋯⋯。 そういう
希死念慮を追いはらう方法
連載 第340回
