書いているときは他人の本を読めない。 もう二ヶ月ものあいだ何も読んでいない。 音楽も新しいものは聴けない。 十代の頃からさんざん親しんできた音楽ばかり聴いている。 『ぼっちの帝国』 にはその影響が反映されている。 たとえば章の題名だ。 あるほうが目次で見栄えがするので無理につけている。 単行本にまとめる際には変えるつもりだ。 便宜的につけているだけなので意味はない。 たまたまそのとき聴いていた音楽からとったものが多い。 初回だけ多少は考えてつけた。 『女には向かない職業』 のもじりだ。 確かいしいひさいちも同じ駄洒落を使っていたように思う。 第2回は初期のBeatlesを聴きながら書いた。 ジョージがインタビューで好きな食べ物を訊かれ深く考えずにジェリビーンズと適当に答えたらライヴで客席からジェリビーンズが降りそそいだという逸話からつけた。 第3回はBob Dylanを聴いていた。 彼の音楽は 『Bringing It All Back Home』 から 『Blonde on Blonde』 までが好きであとは関心がない。 人格OverDriveでは英数字の記事名であればそれがそのままURLになる。 日本語の記事名をURLにすることもできるのだが文字化けしたり共有のリンクがうまく生成されなかったりするので英数字だけにしている。 第3回から英数字の章が増えたのはアクセス解析でどの記事が読まれたのか見分けやすいからだ。 第4回と第5回はSuzanne Vegaだ。 別に彼女のファンではないのだがおれが十代の頃Mitchell FroomとTchad Blakeという二人組プロデューサーが人気でその音はいかにも90年代という感じがした。 そのことをなんとなく思い出してつけた。 次の 『変な男』 というのは変な男が登場する回だからで音楽は関係ない。 第7、 8回は母親が登場するのでBeatlesとStonesの母親が出てくる唄からとった。 第9回はちょっと意味がある。 『ぼっちの帝国』 のネタ元に 『フィッシャー・キング』 と 『ドリーム・チーム』 というふたつの映画がある。 この二作は製作された年も近いのだがどういうわけか同じ曲が似たような意味合いで使われている。 それが 「Hit The Road Jack」 だ。 人格的に欠陥のある男が女から追い出される唄だ。 このネタは題名だけではなく本編でも使い回すつもりでいる。 第10回にもひねりはない。 そういう名前の人物が登場するだけだ。 第11回はMartin Newellの名盤から。 小説の内容とはまったく関係がない。 書いたときにたまたま聴き返していただけだ。 第14回まで書いたら第一部が終わる。 序破急の序にあたる部分だ。 起承転結の起といってもいい。 そこまで書いたら細切れにして 『職と男と家を失った28歳女子がシェアハウス暮らしのおっさんに恋する話』 と題して定期刊行するつもりだ。 つづきが知りたければサイトに読みに来い、 と奥付に書く。 最終話だけは細切れにしない。 読みたければ完全版 『ぼっちの帝国』 を買えと。 Amazon専売でなければ利益が出ないのでサイトのほうはパスワードつき限定公開にする。 うまくやればこれまでより読まれるのではないかと思うのだがそれだけでは駄目だとも思う。 やはりソーシャルメディアの運用を考えたほうがいいのかもしれない。 その方面の適性がからきしなのでどうしたものか悩んでいる。 ゲームに親しまずに育ったせいだ。 プロを雇うのが一番なのだろうが当然そんな金はない。 それをいえば外部の書き手から原稿を募ることもやりたいのだが金がなくてできない。 むかし泉谷しげるが 「ロックンロールにゃ金かかる」 と唄っていたが出版にもやはり当然のように金がかかる。 とりあえずいまやれることをやるしかない。 全56話のうち11話まで書いた。 書き上げれば原稿用紙換算で630程度にはなるのではないかと思う。 ようやく若い頃の筆力を取り戻せたような気がする。 10枚ずつ小分けに書いて公開する仕組みがモチベーションを上げている。 サイトがなければ書けなかった。 『ぼっちの帝国』 の次に予定している 『GONZO』 も同じ仕組みで書くつもりだがそちらは最初から限定公開にするかもしれない。 価値のあるものは書いているのにゲーム的な才覚、 他者に認められる才覚がないために損をしている。 どうにかして乗り越えなければ書いたものが無駄になる。 どうにかしなければ。 どうにか。
