夏の終わりに

逆さの月はきつかった。 「帰宅したら書かなければいけないから仕事があってよかったと考えたほどだ若い頃は小説を書くと三キロくらい痩せた今回は逆に肥ったしらふでは書けなかったからだ下戸なのに平日でも700mlを二日で一本あけた休日なら朝起きてまずジャックダニエルの瓶に手を伸ばした全体の調子を整える作業に入ったので客観的に読み返すためにも他人の本を読みたい本はSpotifyがおすすめを紹介してくれるけれど本はそうもいかないAmazonのアルゴリズムが役に立たないからだかといって街の書店も役に立たない取次が決めた書棚を見ても惨めになるだけだポール・オースターの新刊が来月らしいけれど原著のレビューを読むかぎりでは悪いほうのオースターのようだ

出版に向けた段取りを考えはじめたところでCreateSpaceがKDPに統合される旨のメールが届いたいい報せは口座で報酬を受け取れるかもしれないことだこれまでは米国に口座を開設しないかぎりは小切手での支払いしか選べず小切手は換金に五千円ほどかかると聞いていたこれまでにジャックダニエル二本分は稼いだので運がよければようやくその分が飲めるかもしれない悪い報せはKDP Printは日本語に対応していないということつまり既刊は編集できなくなるだけでこれまで通り販売できるものの日本語の新刊は出せなくなるということだCreateSpaceと米国KDPの両者に問い合わせたが見込みは薄い仕方がないので米国KDPの設定をした2012年はEINその後TINが必要になってみなし事業体としてEINを入力した今回は日本の個人番号を入力した

日本のAmazonはPODの展開を業者に任せている残念ながらこの業者は実質詐欺だあらゆる段階において担当者にメールでむりなお願いをしないかぎりは最低限の出版ができないおまけにその段階のすべてにおいて後出しで料金を要求されるAmazonの仕組みを外部の業者が借りる以上はある程度やむを得ないとはいえ広告に謳われている出版の最低限を叶えるためにモンスタークレーマー扱いされるのでは使いものにならないこの業者とかかわらずには今後は日本語の本を出版できないあらゆることに目をつむるとしても5×8インチの判型を使えないので表紙画像をあらたに用意しなければならないしCreateSpaceなら1000円以下に抑えられた本が1600円になるそもそも支払い手段が限定されるのでプリペイドのクレジットカードしか持たない身には利用の手立てがない法人組織としての出版社を設立しなければ印刷版を出版するのはむずかしくなった

日本のAmazonは顧客第一主義を標榜しているここでいう顧客はじつは一般消費者のことではない一方的にひとり勝ちしているように見えながら案外業界の空気を読んでさまざまな思惑のあいだでしたたかに調整しているたとえば本気でやろうと思えば金の力で実力のある編集者や作家を囲い込んで専売で売り出すこともできるはずなのに日本の商習慣を尊重してかあえてやらないさしさわりのない小規模な実験をやったりやらなかったりしているだけだKDP Printにしてもしかり多言語対応がむずかしいからなのかとかFlashベースのシステムをHTML5に書き換えるのが大変だからなのかとか憶測したけれどどうもそういうことではないらしいスクリーンショットを見たかぎりではCreateSpaceのシステムを持ってきただけのようだPODに関してはどうも利権というか大人の事情のようなものがあるらしいなるほど大人の世界というのはこのようにしてまわっているのだなと感じる場面を垣間見たようなことがあった

【追記】

米国KDPから返信があったやはり日本語では出版できなくなるとのこと多言語対応についての貴重なご意見として今後の参考にさせていただきますと言われて終わった