読まず嫌いだった。 はじめて読んだ。 性犯罪被害の話だとは知らなかった。 性的虐待を受けて育った男が、 そのために人生を駄目にしていく。 世間とも女ともうまくやることができない。 うまくいくかもしれなかった結婚も、 妻子を不幸にするのを畏れてみずから駄目にしてしまう。 その後の結婚はうまく行くかに思えたが妻は性犯罪にあう。 その場にいあわせながら恐怖のために逃げることしかできない。 おなじ経験をしたことのない世間一般の人間である 「友人」 は、 その現場を知らせるだけで平然としている。 その結婚も駄目になる。 主人公は男たちに断罪され脳病院 (事実上、 劣悪な牢獄) に入れられる。 出てからも実家のはからいで性暴力の被害にあいつづける。 這い出ることのかなわぬ人生。 何が暴力となりうるかは、 孤立の度合いによる。 当時の家庭で父親が子どもを殴るのは当たり前だったろう。 これだけなら人前でいえることだ。 性的虐待も同様に多かったはずだけれども、 これは人前でいえない。 孤立した子どもはおかしくなる。 「おかしい子ども」 を封建的な父親は罰するだろう。 「世間」 も罰するだろう。 暴力によって孤立させられた子どもは、 二次加害によってさらに断罪され、 孤立させられる。 性的虐待のサヴァイヴァーが的確に描写されている。 もしこの小説が、 青春期の普遍的な悩みについての物語として読まれているのなら、 それはある種の二次加害でさえありうる。 本質を黙殺し、 ありがちな悩みに矮小化する行為であるように思える。
